日本製紙株式会社日本製紙洋紙営業本部



原料調達編

前回は、紙のつくり方の全体を見ていただいた。今号からは、順に従い、個々の工程内容をくわしくご紹介したい。まずは紙のレシピの原料調達編。紙は、木と水が基本原料。この「木」の原料は、チップ(木片)と古紙からなっている。このチップや古紙がどういう性質のものであり、どのように工場までやってくるか知っていただく。


パルプ材消費量の97%はチップ
 パルプ材の年間消費量は、日本の製紙業界全体で約3,600万m3。そのうち97%はチップという木片。チップは「ポテトチップ」のチップと同じ“薄片”という意味で、形も似ている。チップの7割が海外から、3割が国内から集められる。国内チップは製材残材が4割、人工林2割、残りは林地残材や間伐材などの低質木、災害倒木で、チップ工場においてチッパーという機械で切断加工され、各工場に運ばれてくる。
 世界各地から輸入するチップは、生産地のチップ工場から、「チップ船」という専用船に積み込まれて工場まで直接やってくる。「チップ船」は昭和40年代に海外のチップを輸送するために日本で開発された。


チップは世界の国からやってくる。
 戦前、日本の製紙会社はパルプの材料に針葉樹を使っていたが、現在では約3割に減少。いまは、成長の早い広葉樹が7割を越している。一般的に針葉樹は成長に時間がかかること、資源が少ないことからパルプ材としてはコストが高く、徐々に減ってきているが、強度の強い紙をつくるには必要な樹種だ。
 日本製紙では、海外の針葉樹チップの8割をオーストラリアやニュージーランドの植林木から調達している。オセアニアでは、システム化された植林事業が盛んで、使われなくなった牧草地や過剰放牧のためにハゲ山になった土地を「木の畑」にしている。広葉樹も、日本製紙にとって最大の供給地はオーストラリアだ。植林木のユーカリは短期間でチップに加工し出荷できる製紙原料に適した樹木なので、安定的に調達できる。
  オセアニア以外の地域では、南アフリカと南米がある。南アフリカでは、鉱山の坑道をつくるため、数十年前から植林をしてきた。鉱山の衰退により、その余剰木材をいまは、チップに加工し、輸出している。また、南アフリカ、南米ともに、皮をなめすのに必要なタンニンをとるために植林し樹皮を使うが、残りをチップに加工して、輸出している。
  現在、日本製紙で輸入しているチップに、熱帯雨林の木は、まったく入っていないのでご安心を。
 


西オーストラリアのコリー地区にある日本製紙の植林地。 畑のように見えるのがユーカリ・グロビュラスの木だ。



環境に配慮した社有林と海外植林
 日本製紙では、戦前から国内に自社林を保有し、紙の原料としてきた。現在は8万1,500haの自社林のうち、1万7,200haをほとんど手つかずの環境林として保護。残りは選択的に伐採して建築材に加工し、紙の原料とはならない。
 一方、海外では約3万haの植林事業を展開している。2003年には、自社の植林木からチップが初入荷される予定だ。これからも10万haを目標に、異業種の企業とも協力し、海外における植林事業を拡大していく。
 木材は再生産可能な資源だ。重要なことは、どういう木(天然林か、植林木か)をどのように切るかだ。
 日本製紙は、切った分を必ず再生させる、切るために必要な量を植えるということをモットーにしている。


日本の古紙利用率は、56%

 古紙を回収し、製紙原料とすることは、ゴミ問題や省資源という面で近年注目されているが、製紙会社にとっては、原料確保の意味も持っている。
 日本で1999年に紙・板紙生産において消費された製紙原料は、3,039万t、このうち古紙・古紙パルプは、1,705万t消費されており、消費量全体の約56.1%を占める原料だ。
 洋紙は品質要求の厳しさから、板紙などに比べると利用率が低いが、約30%まで上がってきている。



雑誌古紙の利用拡大

 当社では、年間93万tもの古紙を利用している。洋紙全体での利用率は、約31%と全国平均をクリア。新聞用紙については、配合率70%の目標を達成(平成12年度見込み)。とくに、DIP製造技術(紙dasを参照)や雑誌の背糊除去技術の向上に努めた結果、これまでおもに板紙などに利用されていた雑誌古紙の新聞・洋紙分野での利用促進が急速にすすんだ。今後一層、どんな古紙にも対応できる体制づくりにとり組んでいく。



オフィス古紙の分別回収が鍵

 新聞古紙はもとより、雑誌古紙の利用も進みつつあるいま、オフィス古紙の利用促進が今後の課題のひとつだ。オフィス古紙は、紙の種類が多く、分別の手間やコストの問題から、雑多な紙が混ざったまま回収されるため、再利用するときに用途が限定される「雑紙」として扱われることが多い。オフィス古紙は本来OA古紙など、上質、中質系古紙が中心で、分別が行われれば良質な原料となりうる。
  古紙は、回収、利用の面で経済合理性を持つことが望ましい。円滑な紙のリサイクルを行うためには、製紙メーカー、古紙問屋、新聞社、出版社間などのほか、これらの会社と一般消費者のコンセンサスも重要と考える。



正しい分別が古紙利用率を アップする
 
 古紙の回収、利用は近年飛躍的に進んでいるが、利用効率を上げるためには、紙の分別が必要である。
  古紙回収業者によると、新聞古紙の中にはティッシュの空き箱、ビニールに入ったままのカタログなどのほか、合成紙などの混入もあるようだ。紙であれば何でも再生、利用できるわけではない。古紙を資源として利用するためには、正確な分別が必要となる。
  読者のみなさまにもご家庭、オフィスでの古紙分別、回収にぜひご協力いただきたい。

日本製紙石巻工場の古紙ヤード。 工場の近隣の地域を中心に古紙が集められる。



紙のレシピBACKNEXT目次この頁のトップ前頁次頁