日本製紙株式会社日本製紙洋紙営業本部


IT革命、eビジネス、企業のM&Aの波など、最近の経済の変化には目が離せない。
これからの紙パ業界はこの変化にどう対応していくべきか。
2社の卸商さん、大昭和製紙、日本製紙の中堅社員4名で、率直な意見交換を行った。

大昭和製紙株式会社
洋紙営業本部
印刷用紙部 印刷用紙課
日隈 隆治 主任
ひぐま たかじ
日本製紙株式会社
洋紙営業本部
特需・特殊紙営業部
特殊紙グループ
則竹 光俊 課長

のりたけ みつとし
中庄株式会社
第一営業本部
営業二部一課
小松 正一 課長代理

こまつ しょういち
吉川紙商事株式会社
第五営業部
山田 有一 課長
やまだ ゆういち
昭和60年入社/営業として約10年出版を担当、今年より印刷を担当する。 昭和58年入社/入社以来ほとんど営業を担当。4年間の工場勤務経験がある。 昭和60年入社/入社以来同業・印刷を営業として担当。現在は出版を担当。 昭和61年入社/印刷の営業を担当。4月より印刷・出版関係を担う上記部へ。

則竹 新聞やビジネス誌では、eコマースなど多くとり上げていますし、eビジネスの時代に突入したとも聞きます。出版や印刷では新しい動きは見られますか。
小松 出版では、やはりインターネットビジネスの波がやってきたと感じます。まだ大きな商売になっていませんが、書籍など取次を通さないインターネット取引もはじまっています。本の売上げが低迷しているので、新たな商品CD-ROMなどの開発を含めて、模索していると思います。 私たちも、この流れに対応していかなければなりません。インターネットによる商取引eコマースの時代になると、顔の見えない取引になると思われがちですが、手で触れないで商品を選ぶ不安を解消するためにも、より具体的により詳しく商品を説明できる我々、卸商の仕事が、より重要になってくると考えます。そして、いままで以上に商品知識や即応力が営業の個々の人間に要求されるようになると思います。
山田 印刷業界では、eビジネスはまだ初期の段階で、関心を持って動きを見ているといったところです。でもいずれeビジネスの波は印刷業界にもやってくると思います。インターネットの画面で価格と納期を選ぶようになるかもしれません。eビジネスとはいっても、それはあくまでもツールであって、そこには人の絶大な意思があるわけです。我々が橋渡しとしてどうかかわるのかで、eビジネスに対する安心感もそこから生れてくると思います。だからこそ、お客さまの要望をきめ細かくうかがい、メーカーとの橋渡しとしての我々の存在価値がいまこそ問われるだろうと思います。

則竹 ビジネスの流れが変わってきたという意味では、当社と大昭和製紙との統合・共販会社設立もそのひとつだと思いますが、このニュースを知りどう思ったか、率直なところをお聞かせください。
小松 最初は2社の接点が見つけられなくて驚きました。そしてまた、連結ベースで、世界7位の規模になると知り、規模の大きさにも驚かされました。率直にいって、今回の統合のようなメーカーの再編が次々と行われると、紙パ業界がメーカー主導になっていくのかと、少々不安に思いました。
山田 第一印象は「なぜ!?」でした。次に考えたのは、統合すれば、当然同一種の商品のラインナップが減り、少ない商品の中で価格だけを頼りに選ぶしかなくなるのかと。そうしたときに卸商はどのような対応をしたらよいのかと、また、メーカーと比べ規模の小さい我々は、とり残されるのかなとも思いましたね。
日隈 まったく予測していなかったことですから、自分の先行きも含めて、会社がどういう形になっていくのか、漠然とした不安が正直なところありました。しかし、あらためて考えると、事業統合を行えば、生産、物流のコストダウンが実現し、それがお客さまに還元され安定供給につながるわけですから、紙パ業界全体にとっても悪いことではないと確信しました。企業の規模が大きくなれば、いままでの代理店さんや卸商さんとのパイプもより幅広く太くなるということですから、いま以上に密なおつき合いができると考えています。
則竹 実のところ共販会社の形は、私たちにもまだ見えていません。ただ、今回の統合は、世界の流れ、統合や合併、提携などによる業界の再編の真っただ中に我々もいることの証でしょう。企業が体力をつけ、安定した基盤を持つために必要な決断だったとも思います。
日隈 卸商さんのみなさんには直接お客さまからの声が伝わっていると思うのですが、出版や印刷直需の方々は、今回の統合についてどんな反応でしたか。
山田 価格がメーカー主導になるのではと不安をもらす印刷関係の方もいました。ただ、みなさん安ければ安いほどいいと考えているのではなく、価格の安定を望んでいますね。そうした顧客の要望、ニーズをメーカーに伝え、またメーカーの真意をお客さまにわかりやすく説明する。卸商は、メーカーの真意とお客さまのニーズをつなぐ役目を担うべきだと思います。十分な情報提供を前提とした相互理解こそ、業界全体の利益につながるのですから。
小松 出版では、選択の幅が減り在庫も価格もメーカーにコントロールされるのではと危惧する声がありました。一方で、紙の安定供給になると歓迎する声も聞かれました。
則竹 統合のメリットはいろいろあります。同一種の紙を1台で集中して大量に生産すればコストは下がります。機械の数が増えれば顧客の商品ニーズに応じた多品種同時生産もできるようになる。いままで、納品は何日にしかできないなどと卸商のみなさんにお答えしていた商品も、別の工場で月に2、3回と生産の回数を増やすことで、タイムリーな商品提供ができるようになります。 規模が大きくなるからこそ、サービスの内容を充実できる面も増えると思います。

則竹 最後にみなさんにうかがいたいのですが、2年3年でめまぐるしく変化していく現在、10年後の紙パ業界はどうなっていると思いますか。
山田 5年先を読むのも難しいですね。ずいぶん前にペーパーレスの時代がくると言われましたが、結局紙は必要なもの、なくなりません。ただし、会社は「適者生存」の原則で、自然淘汰されるのではと思います。
小松 予測するのが難しい時代ですが、少なくとも外国資本が入ってくるのではないでしょうか。代理店、卸商も再編されていくかもしれません。ただ、eビジネスが主流の世の中になったとしても、自分たちのポジションをきちんと守ってさえいければ、生き残れると確信しています。ポジションポジションで、必要性を感じてもらえる仕事をすることが大切なのですね。
日隈 10年前、こんなに多くの製紙メーカーが合併しているなどとは誰も考えていなかっ たでしょう。ですから、10年後を予測するのはとても難しいのですが、海外の紙パ企業との提携や資本参加もあると考えたほうがいいでしょうね。売価も国際価格になっていくと思います。10年といわずここ数年のうちにグローバル化が進んでいくのではないでしょうか。
中堅ならではの、現場に即した活発な意見交換が繰り広げられた。
則竹 そうですね。東南アジアなどからの輸入紙も増えています。また、数年のうちに日本のメーカーも海外の市場をさらに広げることになるでしょう。現在日本の製紙メーカーは、パルプにする木材資源の多くを海外に頼っています。各メーカーとも海外植林を行っていますが、将来の環境問題を考えると、外国の製紙メーカーや異業種とも提携し、大規模な植林事業にとり組んでいく必要もあるでしょう。
 いずれにせよ10年後にどうなっているかは、自分たちのポジションでどれだけがんばったかで決まるといえそうですね。今日は貴重なお話をありがとうございました。



巻頭記事BACK巻頭記事NEXT目次この頁のトップ次頁