写真の棒は何だと思います?警棒じゃないですよ。ましてや、すりこぎじゃない。似てますけど。これは、「打音棒」と呼ばれている紙屋の道具です。
巻取を叩いてその音で紙の厚薄、水分ムラを感知し印刷作業性に問題がないかをチェックします。
と言っても、棒に目盛りや特別な仕掛けがあるわけではありません。巻取を幅方向に沿って叩いて行き、その打音、打感から品質を判断します。例えば、もし、巻取の水分分布が悪いと耳部が中心部に比べ鈍い音を発します。極端に言えば「コンコンコン、ボコッ」と言う感じです。
打音棒は坪量計(B計)、水分計(M計)、キャリパ−計(紙厚計)等のセンサーを搭載したBM計と呼ばれる機器が普及していなかった時代は抄造現場や印刷立ち会いで広く使用されていました。さすがに、現在ではコンピュ−タ−制御が発達し、品質管理を打音棒で行うことは少なくなってきましたが、ちょっとした検品作業等の場面ではまだまだ使用されています。
材質は樫、朴の木等木材の他、ステンレス製のものもあります。中を空洞にして音を響きやすくする工夫やテフロンテ−プを巻いて巻取に傷が付かないような工夫もされています。
聞くところによれば、ヨットレ−スには熟練したハンマ−打検員が同行し、船艇の金属疲労を聞き分けているとのこと。打音をどう判断するかも、もちろん職人芸です。
コンピュ−タ−全盛の時代に人とモノとの関わりを改めて思い出させてくれる、まだまだ現役とはいいながら、打音棒にはそんな「響き」も感じられるようになってきました。 |