日本製紙株式会社日本製紙洋紙営業本部




 新年あけましておめでとうございます。今年も「よ〜し!日本製紙」をお引き立てのほど、よろしくお願い申しあげます。
さて、今号では当社小林社長にインタビューを行った。今後紙業界にも波及するであろうe-commerceという新しい波に紙業界がどう立ち向かい、乗り越えて行くのか。「e-commerceが我々製紙産業に重大な影響を及ぼすのではないか」その発言の真意は!?

−−−日頃、どのようにパソコンを活用してらっしゃいますか?

 パソコンはよく使っています。個人的な趣味というより、情報通信やインターネットという社会的インフラが、将来の我々の事業に大きな変化や影響を及ぼすのではないか、という気がしています。それを、自分の感覚で確認しようということで、4年ほど前から始めました。ゲームとか音楽とか遊びに関することは殆どしていない。極めてストイックな使い方です。

−−−使ってみてどうでしょうか?

 非常に重大な出来事が今起きているという実感です。紙は伝統的な産業です。しかしインターネットを使った、いわゆる e-commerce が、我々製紙産業に、直接・間接に重大な影響を及ぼすのではないか、と最近は考えるようになりました。多分「紙」という伝統的な産業にまで、変革が訪れる時が来ると思います。
 後から振り返れば、本年即ち20世紀の終わりが、その元年になっているのではないか、という感触を持っています。
 モノを売る仕組みが、電子商取引によって大きく変わってくる。例えば、証券業・書店などは既にインターネット販売を開始している。このように、本やパソコン等最終製品にとどまらず、すべての製品が、インターネットや国際的な配送サービスのシステムに乗っかって、購入出来ることになったらどうなるのか? と強く感じますね。

−−−アメリカではどうなっているのでしょうか?

 個人的な感想で言えば、米国では最終商品である本、花、化粧品、CD等はネット通販がかなり進んでいると考えて良いと思います。
 私自身もパソコン(インターネット)で、本(特に洋書)の購入方法が100%変わってしまいましたね。
 書店に足を運ばずとも、インターネットの amazon.com に申し込むだけで本が届いてしまう。UPS(ユナイテッド・パーセル・サービス)やFedEx(フェデラル・エクスプレス)などが、早ければ4〜5日でアメリカから東京まで本を届けてくれる。
手軽に本が買えるばかりか、むしろスピードや品揃え、決済方法、配送、コスト等格段と便利になったと実感しています。
 ネット取引は、極めて便利である、そういった利点がいろいろな商品の流れに組み込まれれば、消費者は圧倒的にその流れの方に行くと思います。
 日本は、欧米に比べて遅れていますが、今年あたりから加速されてくるような気がします。

−−金融業界なども相当進んでいるようですが。

 ネット上の取引で、一番良いのは、実は金融だと思います。銀行や証券などの金融業界は、お金という非常に抽象的なものを扱っています。ネット上で世界のあらゆるところに預金したり、おろしたり、送金したり出来ます。お金には、運送会社などは不要です。データのやりとりだけで、「マネー」が世界中を動き回るのです。金融から変革が起こったと考えて良いと思います。

−−−製紙産業にはどういう影響があるでしょうか?

 紙とか、鉄鋼、セメント等の素材は、ネット販売は難しいのではないかと思います。
 紙などの素材は、大きくてバルキーな(かさばる)モノなので、配送という大きな問題があり、ネット販売には乗りづらいと思います。
 しかし、鉄鋼でも特殊な鋼鈑についてはやり始めていますし、紙でもアメリカでは、私が知っているだけでも4つの会社がネット販売をやりだしています。
 特殊な紙ではなく、印刷用紙などの素材としての紙でいえば、ネット販売や電子商取引には、クリアーすべき諸問題が数々あり、今すぐに簡単に出来るわけではないでしょう。
 しかし、変化のスピードは、他の産業に比べるとかなり遅いにしても、紙の販売に電子商取引が入るのも時間の問題だと思います。
 電子商取引が、世の中全体に広がるとすれば、素材たる紙も、当然その中に取り込まれていくと考えなくてはなりません。

−−−もし仮に紙業界でネット販売が進むとすれば、
    どんな分野でしょうか?

 紙は重量も重く、特に印刷用紙は印刷物の企画にあわせて決定されるケースが多く、中間素材でもあり、難しいですね。
 しかしながらPPC用紙などの最終製品は価格さえ合えば、ネット販売の対象になり得るでしょう。
 これは使いようによっては極めて便利だし、ある意味では危険な面もあります。なぜかといえば、流通の問題があるからです。代理店があって、卸商があって、お客様がいらっしゃる、こういうシステムのうち、流通が破壊されかねないからです。
 また、破壊しないとネット通販のメリットが出ないといった面もあります。大きな変革に繋がりかねない要素を持っていると思います。
 印刷用紙等について、ネット販売を紙会社の人が始める場合、今まで自分が作った流通や物流システムを壊さなくてはいけないので、非常にやりづらいところがあり、実際には難しいと思います。そういう意味では、紙業界と全く関係のない第三者が、紙の流通に関わってくる可能性も無いとは言えません。
 いずれにしても、素材である紙に、いわゆる e-commerce が入ってくる時にどう対処するかは、真剣に考えておかなくてはいけないテーマだと思います。

−−−インターネットの普及による紙需要については?

 新聞が衰退したり、書籍の要約化により紙の需要が減少すると言われていましたが、米国の例ですが、紙需要は、むしろ増えています。
 情報の量の増加により、情報を求める需要も増えるからです。
 紙には、パラパラと目を通しただけで、簡単に情報を収集できる、持ち運びが容易、という優れた特徴があります。
 また、パソコンでは、光が画面の奥から人間の目に差し込みますが、紙は光が反射する事により、目に見える訳で、目の疲れ方は全然違うと思います。
 シアトルでマイクロソフトの人に聞いたら、2ページ以上の文章はすべて紙に出力して見ていると言っていました。パソコンがもう一段改善されないと、紙に取って代わるのは難しいと思います。
 それに、アメリカでは通販が増えているので、段ボール等包装資材も増えています。個人的な話ですが、私もA4のプリント用紙で月に1,000枚位は使っています。個人ベースで、どんどんプリントしてしまいますから。
 勿論、インターネットの普及によって、減る分野もあります。例えば、事典がCD−ROMになるとか、色々あると思います。しかし、トータルすると、紙需要は増えていくと思います。
 ビル・ゲイツの言うように、2020年に紙がなくなる、ということはないと思います。

−−−さて、話題の流通再編については?

 平成5年に日本製紙が誕生し、王子製紙も2回合併し、板紙ではレンゴーとセッツが合併したように、紙パメーカーの再編は進んできたと思います。これに対し、流通の再編もここに来て、昨年10月の国際紙パルプ商事発足や本年4月の大倉三幸のスタートなどがある通り、再編の動きが出てきたし、これからも他の動きがあると思います。
 再編をする最大の意義は、合併して、ただ悪戯に規模を大きくすることではなく、合理化して、物流や固定費などのいろいろな面において、「コスト」を削減すること。詰まるところ、無駄を省き、効率をあげて、利益を出すことにあります。
 世の中のスピード感覚は、年々早くなっているので、いつまた合理化を目指した流通の再編があっても、なんら不思議ではないと思います。

−−−流通の再編について、日本製紙は出遅れて
    いるのではないかと言う人もいますが。

 そういう話もよく聞きますが、そんなことは、全くありません。
 代理店としての機能が充分あり、また低コストが実現出来る代理店を通すことが、大事なのです。代理店も大競争の時代で、実力が問われる時代だと思います。
 お客様が、製品を自由に選択出来る時代に、代理店の機能とそれに見合うコストという点で、競争力のない代理店はダメだと思います。代理店の競争力が問題なのです。
 単に系列を看板にするような代理店に、競争力は無いでしょうし、系列だから競争力があるということにはならないでしょう。品揃え、品質、サービスでの競争力が基本です。系列だから、関係会社だから、といった時代ではないと考えています。
 日本製紙としては、品質のいいものをサービスよくタイムリーに届けることに徹底する、という基本的な考え方で進んでいきます。そして、競争力のある代理店とともに、お客様に喜んで戴けるメーカーでありたいと考えます。
 流通の再編成は更に必要ですが、今言った考え方で進めるつもりです。

−−− 最後にユーザーの皆様に一言お願いします。

 今まで申し上げましたように、世の中は激変していくと思います。仕組みも変わっていくと思います。すぐにではないけれど、商取引も変わってくるという中で、当社は、何と言ってもまず国内のお客様が第一、で運営して参ります。そして、ありとあらゆる努力と工夫を講じて、どんな局面でも負けない競争力をつける、そして、新しい品質要求などに対しても、全力を挙げて高いレベルで取り組んで参ります。
 皆様、どうぞご信頼ください。



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