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−−−卸商の機能とは?
顧客のニーズに対応することだと考えています。ニーズには、いろいろありますが、デリバリー、品揃え、価格という大きな要素があります。
デリバリーと言ってもただものを動かすだけでなく、メーカーの生産から代理店の在庫まで把握して初めて、ユーザーのニーズに対応することができるでしょう。
また、日々のデリバリーは小口で多頻度です。東京の卸商では、1件あたり250kg以下の商いが、全体の約80%以上もあります。計画的な配送が出来れば、もっとコストが下がるでしょうが、過当競争なので、ユーザーに改善を要求しても、今の所どうしようもありません。
また、他産業では小口配送に宅配便を利用する向きもありますが、紙業界においては、既に我々卸商が宅配便にも出来ないようなデリバリーを行っています。ただ、特急運賃を設定するなど、もう少し輸送(流通)コストを守らなければならないと思いますが(笑)。
品揃えという点では、卸商はメーカーからフリーなので、自身にメリットがあり、ユーザーにサービスさえ出来れば、国内の紙であれ輸入紙であれ、商売を行います。しかしながら、国内紙に比べ品質・価格・デリバリーの信頼性等の点から、輸入紙は扱いにくいのも事実です。
そして、価格は非常に重要な要素です。ユーザーにとって素材というのは、あくまでコストであり、少しでも安くて良い紙が選ばれるのは当然です。
末端での価格形成は、市況が先にあり、です。メーカー側が思うほどマージンは高くありません。価格が高ければ商売は逃げてしまいますし、逆にマージンの中にコストを収めなければ赤字になります。それ故、市況に応じた価格形成ということが非常にしっかりと出来ていると考えています。
もう一つ付け加えさせていただくと、リスク負担ということがあります。卸商は直接ユーザーに接している分情報をつかんでいますが、それでも引っかかるときもあります。単なるリスク回避に使われるだけだと情けないのですが、代理店が小口に入ってこないのはそういうリスクをかぶりたくないという気持ちもあるのでしょう。
−−−代理店との関係は?
地方では、代理店は大口、卸商は小口といった棲み分けが、比較的上手くいっています。大都市圏では、やはり小口に関しては卸商の機能が生きているものの、大口に関しては、かなりの部分で侵入を受けています。さらに中規模ユーザーのあたりでは激しく競争しています。
また一方で、成長してきたユーザー自身も、(信用も付いたという事で)直買を歓迎する傾向があります。この辺はユーザーの希望によりケースバイケースでやっていかなくてはなりません。卸商が間に入って、価格が高くなったり、情報が滞ったりするのは本末転倒です。代理店も含めて、機能がない流通は淘汰されていく可能性があります。
−−−では逆に、代理店に望むことは?
卸商の人間は、いろいろと思うことはあっても、代理店にはなかなか言いづらいところがありますが(笑)。卸商はこれまでも広く新規ユーザー開拓に力を入れてきました。それらのユーザーとの商売を継続していくためにも、メーカーも含めて、代理店にはバックアップをお願いしたい。
それから、代理店はしっかりして、メーカーに直売の気持ちを持たさせないように頑張って欲しいと思います。代理店の集約も、成果が早く出てきて欲しいですね。
扱い数量が多くなれば、スケールメリットが出てくるし、コストに見合った口銭体系などを構築できれば、最終的にユーザーに対して安くできるのは事実です。
ただ、コンサルティング・セールスや先ほど述べましたきめ細かいデリバリー体制など、少なくとも小口の客先は、卸商に任せて頂きたいと思います。代理店も卸商を利用することにより、メリットがあるという形になって行くのが理想だと考えます。
−−−今後の卸商は?
紙の需要は今後どうなるのか、という問題があります。業界内の予想では紙の需要は増えるという向きが多いのですが、本当のところはどの程度のものなのか分かりません。少なくとも、現在の需要の幾ばくかは、ネットに置き換わると見ることが出来ます。コンビニが、店内にネット端末を置いて、飛行機のチケットを扱う時代ですから。
いずれにせよ、国内経済がかつてのような高成長を望めない以上、紙の需要はどうなるのか明確な回答は誰にも出来ないでしょう。
従来の御用聞き商売では、セールスポイントが価格のみとなってしまいがちでしたが、右肩上がりの時代の中では何とかなってきました。しかしながら、今後需要が大きく伸びるとは考えにくい市場の中では、価格以外のセールスポイントを持たなければ、顧客に必要とされなくなってしまいます。その一つがコンサルティングセールスです。今までの紙の営業に欠けていたものです。
ユーザーの知識が高い今、多少価格は高くても、ユーザーの相談に乗れる信頼できる営業マンの育成が必要です。ただその為の教育を中小企業単独ですることは難しく、組合として行っています。それが紙営業士の資格です。これはかなり難しい資格で、合格率は25%前後です。また、取得後も継続的に教育を行い、レベルの維持・向上に努めています。
中小企業は、大手に比べて、なかなか良い人材が集まりません。これは紙業界としてのPRが少ない事も一因ですが、どの業界でも中小企業に共通した問題です。
少数精鋭化、個々人の業績評価など待遇をもっと良くすることで、若い人間に対して、魅力のある業界、会社である事をアピールして、いい人材を確保するというのが、これからの卸商の経営のポイントとなると思います。
−−−情報化社会については?
コンピューターについては、大なり小なり既にどこでも使っています。業界内のカミネット、そしてユーザーまでを巻き込んだe-commerce。これらはパソコン一台あれば、商売が出来るというシステムです。ただし実際の運用に際しては、特に一般のユーザーと繋がるe-commerceには解決していかなければならない問題がたくさんあります。価格設定のあり方、在庫をどう公開するのかといった、今までのケースバイケースの商慣行をどうルール化して電子取引にのせていくのかということが問題です。
そうは言ってもコンピューターは非常に高価です(笑)。システムが大きくなると、投資金額も大きくなります。そうなると規模の小さな卸商にとって、システムへの投資は非常に重荷になります。
卸商は、規模が小さいところが多く、日々リストラ状態であり、ほとんど経営に無駄はありません。新たな投資は難しいところもあります。しかし投資は常に必要ですので、体力をつけるためには、当然合併なども視野に入って来ます。卸商はオーナー経営がほとんどですので、非常に難しく、また非常に敏感な問題でもありますが、限界が見えれば、逆に決断は早いと思われます。日紙商の会員の中でアンケートを採ってみても、それなりに(合併等の手法を)検討している、という解答もあります。
−−−メーカーに望むことは?
紙は市況商品であり、需給で価格が決まるものですが、それでも限度ってものがある。二大メーカーが誕生しても、その辺りはあまり改善されなかった様に思います。特に需給調整は、新M/Cの稼働などに際して、外紙も含めて、もっとバランスをとって欲しいと思います。このような価格の暴落は誰も望んではいません。ユーザーにしても望んでいませんし、卸商も一時うまくやった所があっても、結局は厳しい経営に陥っています。
卸商は、需給に関して非常に敏感であると自負しています。卸商の仕入れと在庫の状況を見ていれば、だいたいの動きは読めると思います。最終消費者ですら、値段が下がると分かっているものを買う人間はいません。その辺りは、オーナー経営だけに、そして規模が小さいだけにシビアになります。メーカーももっと卸商の情報を活用して、より実体に即した需給調整を行って欲しいと思います。
−−−最後に何か一言ございますか?
そうですね、環境問題に関して、日本のメーカーはかなりの部分良いことをやっていると理解しています。古くは環境破壊企業と言われた事もありますが、そこから懸命に公害対策をしてきました。
古紙についてもDIPについても、世界トップレベルのリサイクル産業です。また、植林についても誇るべき点であります。カントリーリスクも考えれば、すごいことです。
せっかくこれだけの事をやっているのだから、もっと広報活動を充実させては如何でしょうか。最近でこそ製紙連にも予算が付いたり、メーカー独自の活動も含めて、広報活動が活発化して来ているようですが、まだまだ少ないと思います。
印刷業界では、毎年9月の印刷月間にイベントを企画し、業界全体のイメージアップを行っています。ですからメーカーも、代理店や卸商を含めた、紙業界全体による、例えば「紙の週間」等のような、イメージアップのイベントを興して欲しいと思います。少なくとも、テレビや新聞に取り上げられるような大規模なものでないと意味がありません。そういった広報活動の中で、紙の大切さをもっと訴えないといけません。少なくとも森林破壊ですぐに引き合いに出されるような状況は何とかしなければならないと思います。
全体的に、もっと日本のメーカーがやっていることを積極的にPRし、紙業界全体のイメージをもっと良くしていくことが必要だと思います。
−−−本日は長時間、本当にありがとうございました。
※ 編集の都合により、敬称を略しております。

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