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1990年に「製紙工場の排水溝近くにいる魚から、微量のダイオキシンが検出された」との報道により、紙とダイオキシンとに強い関係があるような印象が深まった。この為、環境庁は91年11月に全国のパルプ工場周辺の環境調査を行ったが、結果はこれまで環境庁が行ってきた一般の環境庁調査結果と同じレベルであった。また、中央公害対策審議会の関係部会では「現時点では人の健康に被害を及ぼすものではない」と評価されている。
製紙業界では、ダイオキシンを発生させるおそれがある有害物質の発生量の削減に取り組んで来た。具体的には、AOX(吸着性有機ハロゲン化物)の発生量を、パルプ重量比1.5kg/パルプt以下にする事を目標とし、酸素漂白を全工場に導入するなどの対策により、1993年末までに、対象となる全工場がこの目標を達成している。
現在日本の製紙産業のAOX値の平均は、製紙連合会基準値を大きく下回るパルプ重量比0.7kg/パルプtを達成しているが、このレベルではダイオキシンが発生しないことが確認されている。更に本年6月に環境庁より発表された、ダイオキシン排出インベントリーにおいても、このレベルが維持されていることが確認されている。

とは言うものの、AOXの中には、有害大気汚染物質に指定されているクロロホルムや、微量ではあるが、魚などの生物体内で蓄積され、慢性毒性を示すとみられているもの等、有害なものが含まれている可能性が残る。
従来のパルプ漂白法は、塩素・苛性ソーダ・ハイポ・二酸化塩素といった薬品を使用している。この中で、塩素は抜群の漂白力を持ち、コストも安価だが、付加反応が多く、AOXが排出され易い。
そこで、AOXのさらなる削減に向けて、塩素を使わないパルプ漂白方法が注目を集めている。その一つが「ECF」である。ECFでは、AOXが発生し易い塩素の代わりに、二酸化塩素を主体に使用することで、排水中のAOXを更に減らすことができる。
日本製紙では、自社の環境憲章に則り環境影響に配慮した事業活動の一環として、1996年6月、日本初の本格的ECF漂白設備を釧路工場で完成させ、操業を開始している。排水、排気に与える影響は期待した以上に低くなり、その効果は絶大であることが確認できた。更に旭川工場、八代工場でもECF化工事を完了させ、2005年をメドに全工場をECF化することを決定している。
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