日本製紙株式会社日本製紙洋紙営業本部


 

 近年、古い書物で紙がぼろぼろになる(劣化する)といった現象から紙の酸性、中性といったことが話題にのぼるようになりました。酸性、中性の違いは、紙を抄造(しょうぞう)する際に添加している「サイズ剤」というものの性質に由来しています。 「サイズ剤」とはペン書きや、印刷するときのインクの滲み防止剤のことですが、抄紙機(しょうしき)の発明以来、現在も広く松ヤニから作られるロジンが使用されています。ロジンはそのままでは紙に定着しにくい性質のため、定着剤として「硫酸バンド(硫酸アルミニウム)」を用います。この硫酸によって紙が酸性となり、年月と共に紙の繊維が焼けてぼろぼろになってしまうのです。
  そこで、硫酸バンドを使用しなくても定着性のある「反応性サイズ剤」や、硫酸バンドを使用しつつも中性に近い条件で働く「中性ロジンサイズ」といった中性サイズ剤が開発されてきています。こういったサイズ剤を使用することで紙が中性となり、繊維が劣化せず長い間の保存が可能となります。
  また紙には「填料(てんりょう)」とよばれる粉の成分を添加することで、不透明性や表面 の滑らかさを向上させています。酸性紙では泡が発生してしまうため使用できなかった炭酸カルシウムを填料として使用できることで、中性紙では白さや不透明性が一段と向上しています。

 カレンダーやカタログに多く使用されている紙は、艶のある光沢を持ったコート紙・微塗工紙が使用されています。コート紙・微塗工紙は、紙の表面 に特殊な塗料を塗ることで、大幅に印刷適性を向上させた紙ですが、光沢を出す為にはさらに艶出しの加工を施す必要があります。
 これまでは、艶出しの道具はスーパーキャレンダーに限定されていたと言って良いでしょう。この装置は、堅いロールと柔らかいロールを何段も積み重ねた構造をしています。紙がそのロールの間を通 るときに、強い圧力がかかるので、艶と平滑性が得られると同時に、紙全体が押しつぶされて密度が高くなる特徴を持っています。
 ところが近年になって、紙を押しつぶさずに、ツヤと平滑を得られる「高温ソフトニップ」という装置が開発されました(身近な例では、アイロン台とアイロンをイメージしてもらえばよいかと思います)。樹脂製のロールと鉄のロールを組み合わせたものですが、鉄のロールは100℃以上に加熱されています。鉄のロールが紙の表裏均等に当たる様に、2組或いは4組で組み合わされていて、抄紙機の一部分として取り付けることができます。その温度、材質、構造の効果 で、極端な言い方をすれば紙の表面だけを平滑化して艶をつけることができます。
  つまり、中はフカフカ、表面はツルツルの特徴ある紙を作り出すことが出来るのです。
  日本製紙は業界の先頭を切って、この装置を導入しました。このことがペガサスシリーズの開発を可能にしたのです。

 紙を選ぶときのポイントとして「白色度」と「不透明度」が挙げられます。紙の光学特性(白色度、不透明度)を支配する要因は、紙層内における光の「散乱」と「吸収」です。 紙に光を当てると、次の4つに分解されます。
(1) 紙の表面で反射される光。
(2) 紙の内部(紙層内)で乱反射しながら、最終的に跳ね返る光。
(3) 紙に吸収される光。
(4) 紙を透過して、裏面に抜ける光。
 白色度向上には(1)、(2)の「散乱」する光を多くし、(3)の紙層内で「吸収」される光を減らすことが不可欠です。また不透明度向上には(4)を減らす、すなわち、(1)、(2)、(3) を増やすということになります。
  つまり、白色度と不透明度を同時に向上させる事は、(3)が相反する為、難しいとされてきました。
  そこで最近注目されているのが「填料」です。填料の製造工程で形状をコント ロールすることにより、紙に加える填料そのものが、“白色度が高く”て、“紙層中で光を効果 的に乱反射させる”ものに変わります。
  これにより(1)は必然的に増えますし、更に(4)の光を(1)に変えることにより、白色度・不透明度の向上という二つの相反する要求の両立が可能となります。
  超高白コート、“ダイナピュアホワイト”には、こうした技術も応用されています。

 普段何気なく白いと表現している紙でもよく観察するといろいろな色の“白”があります。紙の色・色相は用途や、顧客の好みに応じて設計されます。
 たとえば、文庫本では目に優しく読みやすいように、クリームがかった色が多く使われていますが、出版社によって微妙に赤かったり、青かったりと様々です。 また、写真を鮮やかに再現したい場合はやや青みがかった白、落ち着いた雰囲気を出したい場合は生成の白と、ほんの一例ですがいろいろ違いが有ることが分かっていただけると思います。
 では実際に色の管理はどのように行われるのでしょうか? 一般的にはR.S. Hunterによって考案されたLab(エルエービー)表色系(下図)と、それを基に作られた色差計を利用しています。Lab表色系では、L、a、bという3つの数値で色を表します。Lは明度といい、白〜黒の度合い=明るさを示します。a,bは色度といい、aは+で赤−で緑の強さの度合いを、bは+で黄−で青の強さの度合いを表 します。これを数値として管理しているわけです。

 しかし、最終的には人の目に勝る測定器は有りません。Labの数値ではほとんど変わらない場合も、風合いや、照明、染料の種類等によって見た目の色は変わります。 基準となる見本等と実際に抄造した現物とを見比べる官能検査を行なうことで、微妙な色合の違いを管理しているのです。

 先ず、紙における密度とは、紙の締まり具合のことを指し、次の計算で求めることが出来ます。密度(g/cm3)=坪量 (g/m2)÷厚さ(mm/1,000)例えば、上質紙四六判<55>の厚さが80/1,000mm(80μm) であったとすると、坪量 は64.0g/m2なので、密度=64.0÷80=0.80となります。品種によって紙の密度はおおよそ決まっており、一般 的には塗工紙で1.0〜1.2g/cm3、上質紙で0.6〜0.8g/cm3、中質紙(ラフ物)で 0.4〜0.5g/cm3となっています。
 次に、紙厚ですが、これはいわゆる紙の厚さのことであり、専門的にいうと2枚の平行円板の間に挟んで、一定の圧力の下に置いたときの厚さと定義されます。現在は平行円板の直径は14.3mm、測定時の圧力は、0.55±0.05kgf/cmと規定されています。
 紙厚は、坪量 、そして密度との関係で成り立っており、抄造する際においても、この中の2項目が定まると残りの1項目が決まることになります。
最近、厚みがあるわりに紙が軽い、低密度の「ラフ物」と呼ばれるものが増えて来ています。「ラフ物」とは、簡単にいうと同じ数(重さ)の繊維を使っていても、繊維間に多くの隙間があることによってフワフワに仕上がったものです。<図参照>
 現在、この「ラフ物」はコミックス用途等で多く使用されております。当社の「オペラクリームウルトラ」も上質書籍用紙としての低密度・高紙厚を実現した「ラフ物シリーズ」の最新製品です。

 木材から効率よく繊維を取り出す技術を「パルプ化技術」といい、製紙用パルプの一つとして化学パルプ(ケミカルパルプ)がある。化学パルプは、木材チップを高温の化学薬品で「蒸煮(じょうしゃ)」と呼ばれる化学処理を施して、繊維以外の不純物を取り除いたものである。
 その一種として「KP(Kraft Pulp)クラフトパルプ)」があり、現在の化学パルプの分野で圧倒的な主流となっている。
 その理由として
(1) 繊維以外の不純物(リグニン)を処理工程で溶出させ、その後回収ボイラーで熱源として利用可能である。
(2) パルプ強度が優れており、強い紙が得られる。(Kraftは強いの意)
(3) 漂白処理による白色度の高さ。
などがある。
  化学薬品で漂白したものを晒クラフトパルプ(BKP)、そうでないものを未晒KP(UKP)といい、Bは晒(Bleached=漂白した)、Uは未晒(Unbleached)を表す。代表的なものとして、LBKP・NBKPがある。それぞれの特性として、

LBKP (広葉樹晒クラフトパルプ)<写 真上>
繊維が短いため、地合が良く、
紙の 表面が滑らか。

NBKP (針葉樹晒クラフトパルプ)<写真下>
LBKPに比べ繊維長が2倍以上あるため、
繊維間の結合が多くなり紙力がア ップする。

また、それぞれの頭文字は、ドイツ語の広葉樹(Laubholz)、針葉樹(Nadelholz)から取られており、我が国固有の略号でもある。


光沢度とは、「紙に対し、ある一定の角度で照射した光が、同一の対角にどれだ け跳ね返るか」を数値で表したものです。数値が高いほど光って見え、低いほど優しく見えます。A2コート紙では、75度の反射角度で測定した白紙光沢度が65%程度 以上の紙を「グロス」、20%程度の紙を「マット」、30〜50%程度の紙を「ダル」という風に一般 的に呼ばれています。
 紙に印刷した部分の光沢(印刷光沢度)は、通常のコート紙の場合、白紙の光沢が上がるにつれて上昇します。ただし、ある所で上昇カーブが緩やかになります。図1の通 り、白紙光沢度が60%の所がそうです。
 一方、印刷物の見映えに影響する要素に、光沢差があります。印刷光沢度と白紙光沢度の数値差が大きいほど、視覚的に立体感(コントラスト感)が作用します。「マット」や「ダル」は、白紙光沢度は低いものの、光沢差が大きいため印刷物の見映えがします。図2の通 り、白紙光沢度が低い方がコントラストが冴えています。ただし、これも白紙光沢度60%の所からカーブが下がっていきます。
 つまり、白紙光沢度60%というのは、「印刷光沢度のピーク」に近く、「コントラスト感のピーク」にも近い「絶妙の光沢」と言えるかもしれません。
 当社の「ダイナピュアシルク」の白紙光沢度は、「60%」に設定しております。