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通算16号 有楽町かわら版 2001年(平成13年)4月1日 (季刊)
新聞営業本部長
横山 明

 立派な料亭ならともかく、小料理屋や縄のれんの類で永年営業しているお店を知っているのは、酒飲みにとっては財産です。

 でも、私が学生時代に行ったことのある店が今でも残っているのを見つけた時は本当にビックリしました。

 JR桜木町駅前の路地裏にあるヤキトリ屋がそれです。中年サラリーマン客が多く、学生などが出入りするところではない店で、私も兄のお供で顔を出したのが始めでした。

 明治生まれと思われる頑固者の親爺が、チジミのシャツとステテコといういで立ちで焼き場を仕切っており、ススで黒光 りした窓や柱がチョットした風格を出している店でした。着物姿のおかみと若いお手伝いさんとで店は切り回されていましたが、客筋も良く、兄の自慢の店だと聞きました。

 もっとも、当時大学生の私としては、年の離れた兄が持って帰る「洋酒天国」という小冊子のほうがお気に入りで、バイトの金が入ると悪友とトリスバーに繰り出すのを常としていました。


 我々にとって横浜のヤキトリとは、野毛の屋台で焼酎の梅割と共に出される犬だか猫だかわからないシロモノと相場が決まっていた頃ですから、この店に顔を出したのは数えるほどでしかありません。

 社会人になり、月日は過ぎて、千葉県に家庭を持ってからは、夜の横浜とはトンとご無沙汰でしたが、先年、高校の同窓会の帰途、フト伊勢佐木町通りから桜木町に抜ける途中でこの懐かしき店とめぐり会いました。

 店の主は替わり、雰囲気もシックリとは来ませんでしたが、たたずまいは昔と変わらず、出された串の味も昔のままで、思わず青春を取り戻した感じがしました。

 この店を共に語れる兄も今は亡くなりましたが、これからも時々訪れてみようと思っています。



第16号 (発行日:2001年4月1日)
有楽町かわら版
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