
日本製紙グループが企業経営を行うにあたり、考慮するべき3つの使命があると私たちは考えています。
まず第1は、企業価値の持続的拡大です。企業価値の拡大とはすなわち収益をあげることです。収益をあげなければ、企業として存在する意味がありません。これまで、日本の紙パルプ産業は内需型産業といわれてきました。しかしながら現在、グローバルな市場に変貌しつつあり、その競争のなかを勝ち抜かなければなりません。このような状況のもと、安定して利益を出すことができる企業体質をつくりあげることが日本製紙グループの第1の目標です。
第2は、ステークホルダーの皆さまへの還元です。経営を通じてあげた利益を全ての源泉として、当社グループに関係する方々にさまざまな形で還元することができます。従業員の生活を安定させ、より優れた製品・サービスを開発してお客さまに喜んでいただき、地域社会の発展や環境保全に努め、そして株主に配当する−企業活動を支えるさまざまなステークホルダーの皆さまへ適切に還元をすることは企業の使命なのです。
第3は、経済・環境・社会との調和です。当社グループは、主に紙・パルプおよびそれに関連する事業を営んでいます。紙は、紀元前からこれまで人々の暮らしを支え、文化の発展に寄与してきました。また当社グループは、環境問題についてこれまで精力的に力を注いできました。社会にとってなくてはならない企業として、また環境保全に積極的に取り組む企業として、今後も成長していきます。
日本製紙グループは、「企業価値の持続的発展を果たし、2015年において名実ともに世界紙パルプ企業トップ5にランクされる企業グループを目指す」とした、グループビジョン2015を掲げました。2006年度から3カ年を期間としてスタートした第2次中期経営計画は、グループビジョン2015を達成するためのファーストステップです。環境面においては「重油を使用しない新エネルギーボイラーの立ち上げ」「古紙パルプ設備の増強」、そして「原材料から製品販売までの流れを環境という面から一元的に管理した製品戦略の推進」という3つの課題を中心に取り組んでいきます。
利益を追求しつつ、適切にこれを還元し、環境・社会との調和を保つこと。そして従業員、顧客、取引先、地域社会、株主をはじめとする多様なステークホルダーの皆さまと真の共存関係を構築し、日本製紙グループがあってよかったと、皆さまからいわれるような存在であること。これらを私たちは考え、実践しています。
(株)日本製紙グループ本社はWBCSD※に加盟しています。WBCSDは、経済成長、環境保全、社会的公平の3つのバランスを保つことで、持続可能な発展を求める国際企業の連合体です。
また、私たちは、国連グローバル・コンパクトを支持し、参加しています。これは、人権・労働・環境・腐敗防止の4分野にわたる10の原則からなるものです。この原則の前進に向けて自主的に取り組み、その取り組みを通じて社会の持続可能な成長をめざしています。
グローバルな観点で思考され、またCSRを考察するにあたって基本となるこれら国際的な組織・原則を理解し、その下で活動することは、企業経営を行うにあたって極めて重要であると考えています。日本製紙グループは、今後もこうした国際的な取り組みを支持し、活動していくことを皆さまにお約束します。
※ WBCSD:World Business Council for Sustainable Development(持続可能な発展のための世界経済人会議)

CSRの活動は社会の課題に目を向けた取り組みです。日本のみならず、世界にも目を向けてみると、過去に比べて人々の「生活の質」は多くの地域で向上してきています。しかしながら、まだ課題が残る分野・地域があるのも事実です。地球レベルでは、地球温暖化や、木材をはじめとする資源の利用可能限界、企業においてはサプライチェーン、労働安全や従業員にとってのやりがいの創出などといった課題が存在しています。
CSRは企業活動と一体のもので、切り離すことはできません。今日、企業価値の拡大はこうした社会的課題の前進なしには実現できません。そのため、CSRを推進していくには、企業活動と深い関わりをもつ皆さまに充分な理解と納得をいただく必要があります。当社グループとそれを取り巻くステークホルダーにとって重要な項目は何か。課題を見極め、それらに主体的に取り組み、適切に報告していくことがあるべき姿であると考えています。
今回の報告書では、ステークホルダーの皆さまと当社グループの共通課題である11の項目を取り上げました。
日本製紙グループは社会とともに発展してきました。今後も、積極的に課題を解決できる道を探り、取り組みを進めていきます。本報告書をご一読いただければ、その詳細をご理解いただけると確信しています。私たちの姿勢に対する率直なご意見をいただければ幸いです。

