レビューの手法
本意見書は、担当役員ほか関係者へのインタビューと主要工場への訪問を通したレビューをもとに作成しています。ここではサステナビリティ・レポートの内容について意見を述べるだけでなく、AA1000保証基準の基本原則(重要性、完全性、対応性)を参照してコメントしています。
報告内容についての意見
日本製紙グループでは、木材という自然資源を原料とする事業の責任を果たすために、原材料調達に関する方針を明確に打ち立てています。特に海外からの調達についてステークホルダーの監視の目が厳しい中、調達方針策定にあたってパブリックコメントを得てそれを反映させたというエンゲージメントの姿勢が評価されます。昨年は調達方針に沿ってアクションプランをたて、今後展開していく取り組みを具体化しており、これからの着実な展開が期待されます。
労働安全に関しては、製紙工程で労働災害が起こりやすいことから「事故ゼロ」に向けた徹底した対策の意気込みが伝わってきます。それでも起こってしまう死亡事故について、実状を公表することでアカウンタビリティを果たすとともに、社員の意識の引き締めのうえでも役立っているといえるでしょう。
今後改善すべき分野として、工場と本社、グループ会社と本社との管理上のスムーズな連携が必要です。例えば環境面について、現在では工場レベルでの環境負荷低減の取り組みやそのためのシステムは行き届いていますが、グループ全体として統括するマネジメントが不十分です。地球規模での環境問題に企業グループとして対応するには、グループレベルでの方針を打ちたてそれに沿って生産現場を位置づけるという統合した体制が必要になっています。工場間の業務のばらつきも、これによって改善されます。これは環境マネジメントだけでなく、経営管理全体にいえることです。内部統制の仕組みづくりが要請されている折ですので、今後は全社統括体制に力を入れていただきたいです。
重要性:
- ステークホルダーにとって重要な情報が記載されているか
- CSRでカバーする活動について、活動の目標を社員で共有しその成果を確認しこれをステークホルダーに示すために、KP(I 主要パフォーマンス指標)の設定が重要です。現状では一般的なデータ掲載も混在しており、管理のための指標と開示のための指標の整理が必要です。
完全性:
- 報告している情報は必要な範囲を含めているか
- 報告のバウンダリーが日本製紙のみにとどまる報告が多く、今後関連会社に本社と同じレベルでのCSR展開を進め、またデータも集積していくことが求められます。
対応性:
- ステークホルダーの懸念に対応しているか
- 懸念を提示してくるステークホルダーに対し、自発的に向き合いその声を方針や計画に取り入れています。今後は実行段階でエンゲージメントの姿勢を示してください。一方、従業員については具体的に従業員の声を反映する活動はまだ十分ではないようです。社内の活性化についても、CSRの一環としてとらえることが求められます。
2006年8月


