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CSR担当役員メッセージ
企業は、事業を営むことで社会に何らかの影響を与えます。それにともない、社会と企業の間に利害関係が形成され、利害関係者(ステークホルダー)との間に協働や対立などが発生します。一般的にCSRでは経済・環境・社会という3つの側面のバランスが企業に求められます。そのため、ステークホルダーとの利害の調整が必要となります。このステークホルダーの立場は、昨今、NPOやNGOをはじめとしてますます多様化しています。
現在、この地球上で私たちは多様な社会的問題を抱えています。地域から全世界までさまざまな規模の環境問題、地域紛争、飢餓や貧困、消費者の保護、人権、雇用、労働安全衛生など、問題は山積しています。このなかには、環境保全や雇用労働など、企業が解決の糸口を握っている問題が多くあります。企業には今日、それらの問題に積極的に対応していくことが社会から求められていると、私は考えています。
日本製紙グループの主要事業は製紙です。各種の情報媒体、包装・梱包材、衛生用品など、生活に密着した製品用途向けを中心に紙を供給しています。紙は、社会にとってなくてはならない存在として社会に浸透しています。
当社グループに求められる社会的責任として、まず、生活に不可欠な紙を安定して供給することが挙げられます。当社グループは、日本国内における紙生産量の4分の1近い量を供給しています。その役割の大きさと、万一供給が滞った場合の影響は計り知れません。事業を安定的に継続することは当社グループの社会的責務なのです。
一方で、環境面からの責任もあります。製紙業は、再生可能な資源である木材や古紙を使用してパルプや紙を作りますが、そのさいに大量のエネルギーと水を必要とします。つまり、資源循環型でありながら、エネルギー多消費型の産業でもあるのです。
主原料となる木材は、植林などによって再生することが可能な資源であるものの、人の手で適切に管理しなければ持続的に利用することはできません。また、海外からの購入割合が高いため、原材料確保と森林資源保全の観点から、現地での持続可能な森林経営という課題に取り組んでいく必要があります。
さらに、エネルギーの課題もあります。紙・パルプの製造にはエネルギーを大量に消費するため、重油・石炭・ガスなどといった化石燃料を使って自家発電をしています。このことは、化石燃料の枯渇問題に関わるだけでなく、二酸化炭素(CO2)という温室効果ガスを排出することから地球温暖化にも影響を与えています。このような地球レベルでの環境問題に対応していくことも、当社グループが果たすべき社会的責任のひとつなのです。
こうした社会的責任を果たすため、これまで、とくに環境保全に関する取り組みとのバランスを取りながら企業経営を進めてきました。工場からの排水や排出ガスの処理をはじめ、埋立廃棄物の極小化など、当社グループは数多くの課題に取り組んできました。
当社グループの生産活動が地球の資源や環境に与える影響を考えれば、今後も環境保全が重要なテーマのひとつであることに異論を挟む余地はないでしょう。しかし、それだけではないことも事実です。環境保全に加えて、製品の品質、労働安全、雇用などに対するこれまでの施策をいっそう強化し、さらには新たな課題への対応をも含めて企業の責任として取り組んでいく必要があると考えます。
当社グループでは、CSRに対する社会からの要求が強まるなかで、私を委員長とするCSR委員会と5つの分科委員会からなるグループCSR体制を2003年10月1日に発足させました。主要事業会社の社長や役員がメンバーとなっているCSR委員会では、CSRに関する重要な課題を審議します。分科委員会では、それぞれの専門分野における活動を統括します。また、このグループCSR体制全体を統括する部門としてCSR室を新設しました。
グループCSR体制の発足から1年が経ちました。これまでにグループの経営ビジョン、行動憲章、行動規範を制定するとともに、グループ全体の社内通報制度であるヘルプラインを構築しました。また、人権と雇用・労働や社会貢献活動などに関する理念と基本方針を制定するなど、当社グループがCSRを果たしていくうえでの基盤となる骨格の確立に努めてきました。
経営ビジョンに基づいて作成した行動憲章は、7項目からなります。事業活動を通じた社会への貢献、倫理観と良識、公正な企業活動、お客さまの信頼獲得、情報開示、環境問題への積極的な取り組みなどの原則を簡潔に明記したものです。とくに最後の項目は「会社の発展と個人の幸福の一致を図り、夢と希望にあふれた会社を創造する」としています。実質的に企業は人から成り立っており、人を重要視する当社グループの考えを反映した特徴ある原則であると自負しています。
また、サプライチェーンに関連する課題を検討・審議する委員会として、2004年10月1日、新たに原材料委員会を設置しました。これにより、6つの分科委員会でCSR活動を実践していきます。
これまでは、グループのCSR経営に向けた第一歩として、体制の確立に努めてきました。今後は、より実践的な取り組みの段階へと進むこととしています。分科委員会では、それぞれの専門分野で、グループレベルでの具体的なプランを実行します。
私は、CSRを確実に果たしていくことが、企業価値を創出・向上させる源泉であると考えます。これからも、日本製紙グループが社会から信頼され、いっそう発展するよう努力していく所存です。
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