日本製紙株式会社 研究開発本部 アグリ・バイオ研究所
紙パルプの原料となる樹木の安定確保を目指しています。成長が早く、パルプ化に適した優良木を効率的に増やすことで、単位面積当たりに得られるチップ量が増加します。
当研究所では、自然界から選抜した優良木を大量に増やすための優れた植林技術と、優良木を作出するバイオ技術を開発しています。
精英樹を増やす
海外植林事業をサポートするバイオ技術を開発しています。
―クローン増殖技術の開発―
光独立栄養培養法と低温貯蔵法と呼ばれる2つの組織培養技術を開発し、ユーカリ・グロブラスの大量クローン増殖に成功しました。前者の技術は、植物の光合成能力を利用し、二酸化炭素と光と無機養分で植物を培養する方法です。この方法により、発根の不良や植栽後の生育不良といった問題も克服し、植林用高品質クローン苗の大量生産を世界で初めて実現しました。
一方、後者の技術は、発根に供するシュート(若芽)を低温下で貯蔵しておき、必要なときに必要な分だけを取り出すことで、クローン苗を計画的に生産する方法です。この手法は、単なる大量増殖技術にとどまらず、クローン苗生産事業の運営に安定性と柔軟性をもたらすことが期待されています。
森を創る
原材料の確保と環境保全を目的として、再生産可能な資源である林木の育成と植林を進めています。
―海外でのクローン苗生産試験と試験植林―
2000年6月、西オーストラリア州コリーにクローン苗生産の施設を建設し、実証試験を開始しました。ここでは、当社植林地のユーカリ・グロブラス優良木の選抜・保存、クローン苗の試験生産、そしてその試験植林を行っています。試験植林は、当社のトゥリーファーム・プロジェクトの中で実施されており、技術の実用化を図るには最適な環境にあります。
精英樹選抜

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すでに試験植林を開始したクローン植林地では、種由来の実生林より均一でより早く生長することが明らかになってきており、クローン植林の事業化に向けて大きく前進しています。
ユーカリクローン植林地

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明日のバイオ技術を研く
独自の遺伝子組換え技術で、乾燥に強い樹木や、スギ花粉症緩和米などの機能性米の開発を行っています。
―遺伝子組換え技術の開発―
有用形質の遺伝子のみ植物に導入することを可能とする、優れた遺伝子組換え技術「MATベクター(R) システム」を独自に開発し、日米欧を始めとする世界23カ国で特許を取得しています。このシステムは、従来のシステムと異なり、遺伝子組換え植物に標識遺伝子(抗生物質耐性遺伝子など)が残りません。安心感を高めるだけでなく、同じ遺伝子組換え植物に繰り返し多種の遺伝子を導入することも可能とした画期的なシステムです。
―機能性米の開発―
「MATベクター(R) システム」を用いて、糖尿病治療米やスギ花粉症緩和米など、人類の健康増進に貢献できる様々な機能性米の研究開発を、製薬メーカーや他の研究機関と共同で進めています。
農林水産省「アグリバイオ実用化・産業化研究」で開発中のスギ花粉症緩和米は、マウスの食餌試験で有効性が認められています。将来、ヒトへ応用されれば、クシャミなどのアレルギー反応を抑えられるのではないかと考えられています。
当社は、独立行政法人農業生物資源研究所などと共同で、「MATベクター(R) システム」を使用したスギ花粉症緩和米の開発を進めてきました。スギ花粉症は、今や国民病と言われるほど広がりを見せております。スギ花粉症の解決に貢献できるよう、今後も実用化を目指した積極的な研究開発を行っていきます。
<スギ花粉症緩和米の詳細については、(独)農業生物資源研究所のウェブサイトをご参照ください。>
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